SDGs(Sustainable Development Goals)、すなわち「持続可能な開発目標」とは、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030 アジェンダ」に記載された2030 年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave no onebehind)」ことを誓っています。当社もこの目標に向かって、2030年までに持続可能でよりよい世界にするために取り組んでおり、社長メッセージと当社事業に特に関連する目標についてご紹介します。
トップメッセージ
取締役社長 池浦 正裕
一昔前までは日本の高度経済成長期に象徴されるように、大量生産・大量消費をすることで経済発展していくことが是とされていました。先進国をはじめ、世界中の多くの国々が順調に経済発展していく一方で、徐々に環境破壊等の様々な問題が蓄積され、世界は今、地球の存続を危ぶむような大きな国際問題を多く抱える事態となっています。
SDGs(Sustainable Development Goals)に象徴されるように、現在は「サスティナビリティ」すなわち「持続可能であること」が非常に重要な世界的な指標となっており、今後は便利・安価・大量消費の社会から、適切・適正・適量消費のサスティナブルな社会への移行が加速化していきます。例えば、自然に対してハードなものである道路の概念や規格が変わり、目の前の景色自体も変わっていくかもしれません。
これからは地球そのものを大切にする発想が必要となります。会社の利益ばかりを追い求めていては、SDGsを達成することはできません。人々が働き、生活、成長していけるのは、日本、更には地球があってこそであり、日本や地球という基盤をしっかり維持していかなければ会社の発展もあり得ないのです。我が社は安全・衛生・品質と同じように、SDGs達成に向かって邁進することを最優先事項として、社員全員で取り組んでまいります。
とりくみ
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愛媛県の4つの離島(弓削島、佐島、生名島、岩城島)は広島県尾道市と愛媛県今治市を繋ぐ「しまなみ海道」と繋がっていませんが、この4つの離島を3つの橋で繋ぐ海道「一般県道岩城弓削線(通称:ゆめしま海道)」の整備が進められており、この整備が完了することで、島に暮らす方の生活基盤の強化や産業活性化、更にはサイクリングコースとしての観光客増加等が期待されています。当社はゆめしま海道のうち、生名島と岩城島を繋ぐ「岩城橋」の架設工事に携わっており、2022年に供用開始となりました。
福岡県大牟田市の三池港と、佐賀県の佐賀空港(九州佐賀国際空港)という交通主要拠点を結ぶ広域交通ネットワークの形成や国道208号の混雑緩和を目的として、有明海沿岸道路の大川市東~大野島ICの高速道路が整備され、2021年3月に供用開始されましたが、当社は筑後川に新たに架設した「有明筑後川大橋」の架設工事に携わりました。「有明筑後川大橋」は日本初の構造形式を有する橋梁(鋼4径間連続(2連)単弦中路アーチ橋)であり、有明海沿岸道路最大の鋼橋建設工事でもあったため、注目度の高い工事となりました。
本州四国連絡橋の1つである「明石海峡大橋」は兵庫県神戸市と淡路市を繋ぐ画期的な橋で、当社が架設工事に携わり、1998年4月に供用されたものですが、世界最長の吊橋(全長3,911 m)として今もなお本州・四国の経済、産業、健康、福祉、教育等、人々の生活をあらゆる面で支えています。
東日本大震災からの復興のリーディングプロジェクトとして三陸沿岸道路が整備され、東日本大震災からちょうど10年となる2021年3月6日に供用開始した「気仙沼湾横断橋(通称:かなえおおはし)」は当社が架設工事に携わりました。「かなえおおはし」という名前は、公募によって気仙沼湾の形を表した土地の名前の「鼎(かなえ)が浦」と、「夢・願い・希望を叶える」の両方の意味が込められたものです。気仙沼湾横断橋は宮城県気仙沼市の大川河口部と気仙沼湾湾奥部に架かる長大橋で、東北地方で最大の斜張橋となっており、三陸沿岸道路の整備によって交通の所要時間短縮のほか、救急医療施設への搬送時間短縮や災害時の緊急支援物資等の確実な輸送路確保等が実現されています。
2016年4月に発生した熊本地震により南阿蘇鉄道は大きな被害を受け、同鉄道の高森線立野駅・長陽駅間に位置し白川に架かる第一白川橋梁も甚大な損害を受けたため架け替え工事が行われることとなり、当社は同工事に携わっています。南阿蘇鉄道は南阿蘇の住民の通学、お年寄りなどの交通弱者の足として、更には観光スポットとして重要な役割を果たしており、一刻も早い復旧が望まれていました。工事に尽力した結果、2023年7月に全線開通を果たすことができました。
2019年10月の台風19号(令和元年東日本台風)で立川市と日野市を結ぶ多摩川の日野橋は橋脚一本が沈下し、通行止めとなりました。日野橋は地元の方々にとって生活する上で必要不可欠な橋であるため、超短期間での復旧が求められる難工事であったものの当社はその要望に応え、超短期間で復旧工事を完成させました。地元の方々からは非常に多くの感謝の声を頂き、改めて地元に根付く橋梁の重要性を認識しました。
愛媛県宇和島市の本土と離島の九島を繋ぐ橋として2016年4月に共用開始した市道坂下津1号線の「九島大橋」は当社が架設工事に携わりました。九島大橋の架設は「島民100年の夢」と呼ばれており、フェリーを使ってお孫さんに会いに行っていたおじいさんから「この橋のおかげで自転車で孫に会いにいける。ありがとう」と感謝の言葉を掛けられた現地スタッフは、涙を流し喜びました。今後も人々に喜びと感動を与えることのできる橋を架けてまいります。
地球温暖化に伴うサンゴ礁の衰退が世界的な問題となっていますが、当社は浮桟橋の防蝕のために採用されている「電気防蝕」がサンゴの増殖に寄与していることを発見し、サンゴの増殖について研究を進めています。
当社では、ジェンダー平等を実現するために主に以下の取り組みを行っています。
・第16回広島市男女共同参画推進事業者表彰の受賞(「多種多様で充実した仕事と家庭・地域活動等の両立支援制度」と「近年における係長級の女性割合増加」が評価されたもの)
・広島県仕事と家庭の両立支援企業の登録
・各部署に1名以上の女性配属
・毎年1名以上の新卒女性社員の採用
お世話になっている沢山の企業様から提供頂くカレンダーと手帳を年末に社員に分配した後、どうしても余りが発生してしまうのですが、当社ではこの余ったカレンダーや手帳を活用するため「広島ケナフの会(http://www.kenaf.gr.jp/index.html)」に寄贈しています。寄贈したカレンダーと手帳は毎年1月に広島県内で開催される「チャリティーカレンダー展」で販売され、売上収益は「あしなが育英会」と「公益財団法人ヤマト福祉財団」に寄付されます。今後も資源をできるだけ無駄にすることなく、また社会福祉の一環として貢献できるよう、カレンダーと手帳の寄贈に取り組んでまいります。
当社では新入社員に対して、OJTだけでなく現場実習や社外の集合教育等の多種多様な教育を通じ、社会人としてのビジネスマナーや当社での仕事のやり方等を教育しています。また、新入社員一人ひとりに指導員を付けることで、公私両方の気軽な相談やマンツーマンでの指導を可能にしています。更に三菱重工業(株)が主催する集合教育等により、若手社員、中堅社員、中間管理職、管理職といった各階層においても数多くの充実した教育を受けられる環境を整えています。
当社ではシステム化やペーパーレス化を進め、森林や生態系の保全に努めています。また、ペーパーレス化推進のため、事務所内にある書庫室の廃止について検討を進めています。
当社では巨大な地震や津波の対策として、「ダンパーブレース」「制振装置(TMD)」「耐風・風洞技術」「起振装置を用いた振動特性の計測技術」「直立浮上防波堤」「津波シミュレーション」等の技術の導入・開発を行っています。